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東京高等裁判所 昭和55年(行ケ)221号 判決

原告主張の審決取消事由の存否について判断する。

成立について争いのない甲第一号証(本件意匠の意匠公報)によれば、本件意匠(〔編註〕 意匠をあらわす物品は道路用消火栓ブロツク)は、平面ほぼ縦長方形状の枠体状に形成し、その周囲四側面はこれをほぼ垂直面とし、その下方部は、周囲を鍔状に外方に突出させ、その突出部の上面は、枠体の中央に向つてやや上向きの傾斜面を形成し、その上方の枠体左右両側には、横方向ほぼ中央に、細長い、内側に向い狭くなつた台形状の凹みを設け、該枠体の上端面は、その周縁部を僅かに低く平坦状に切截してなり、ブロツク全体の正面及び背面の下方部中央には、半円状の切截部を設けてなるものであつて、枠体の下方部における突出部の鍔の張り出し長さと枠体の高さとの比(以下「(イ)の比」という。)がほぼ一対四・二五であり、縦長方形状の枠体の周囲四側面において、その左右両側の横方向ほぼ中央に設けた前記台形状の凹みを除く全面と、枠体の下方部に鍔状に設けた突出部の周囲四側面の垂直面全面とに、短い棒状の凹みをもつて網目様の模様(以下「(ロ)の凹陥網目模様」という。)を表わしたものであることが認められる。

また、成立について争いのない甲第二号証(引用意匠を表わした実用新案公報)によれば、引用意匠は、平面ほぼ縦長方形状の枠体状に形成し、その周囲四側面はこれをほぼ垂直面とし、その下方部は、周囲を鍔状に外方に突出させ、その突出部の上面は、枠体の中央に向つてやや上向きの傾斜面を形成し、その上方の枠体左右両側には、横方向ほぼ中央に、細長い、内側に向い狭くなつた台形状の凹みを設け、該枠体の上端面は、その周縁部を僅かに低く平坦状に切截してなり、ブロツク全体の正面及び背面の下方部中央には、半円状の切截部を設けてなるものであつて、(イ)の比がほぼ一対一三・五であり、縦長方形状の枠体の周囲四側面全面と、枠体の下方部に鍔状に設けた突出部の周囲四側面全面とは、平坦な面となつていることが認められる。

本件意匠と引用意匠とを対比するに、両者は、(イ)の比において、その値が、本件意匠では引用意匠のものの三倍強に当る著しい差があり(なお、後者のものは、もと要図として画かれたものではあろうが、そこに表わされたものが意匠として引用されている以上、これを寸法的に観察することも許されるというべきである。)、また、(ロ)の凹陥網目模様については、本件意匠にのみ表わされているものであり、この模様の存する部分は、枠体の左右両側面における台形状の凹みの部分を除く周囲四側面全面と、枠体の鍔状突出部の周囲四側面の垂直面全面とにわたつており、短い棒状の凹みにより構成されるその模様も、意匠に係る物品全体としてみるとき、看者に訴える印象がきわめて大きいものであるのに対し、引用意匠においては、以上に対応する部分は平坦な面となつているので、審決が両者の基本的構成等において認められるとした共通点を考量するとしても、両者を全体として対比観察するときは、本件意匠は、引用意匠と顕著に異なり、類似するものとすることはできない。

審決は、その理由に徴するに、(イ)の比及び(ロ)の凹陥網目模様についての上記差異について、的確な検討をしたものとはうかがえないので、結局、この点の差異を看過し、誤つて両意匠を類似するものとしたとのそしりを免れず、これは、審決の結論に影響することが明らかである。

よつて、本件意匠を引用意匠に類似するとした本件審決の違法を理由に、その取消を求める原告の本訴請求は、理由があるから、これを認容する。

〔編註〕 本件に関する意匠は左のとおりである。

別紙(一)(本件意匠)

<省略>

別紙(二)(引用意匠)

<省略>

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